連邦政府ITマネジメント刷新のための25の実行計画

米国連邦政府CIOのVivek Kundraが、今後18か月間の連邦政府におけるITマネジメントの刷新計画として、2010年12月9日に発表したもの。原典は以下を参照。

日本語訳は以下の通り。

目次

  1. 1 日本語訳
    1. 1.1 イントロダクション
    2. 1.2 パート1:業務効率をあげる
      1. 1.2.1 A.「軽い技術」と共有ソリューションを適用する
        1. 1.2.1.1 (1)800のデータセンターを2015年までに統合するための詳細プランを作る
          1. 1.2.1.1.1 6ヶ月以内に各省データセンター・プログラムのマネージャーを1名指名
          2. 1.2.1.1.2 データセンター統合を確実に遂行するためのタスクフォースを立ち上げる
          3. 1.2.1.1.3 統合の進捗状況が確認できる公的なダッシュボードを立ち上げる
        2. 1.2.1.2 (2)データセンターの有用性に関する政府全体としてのマーケット・プレイスを作る
        3. 1.2.1.3 (3)「クラウドファースト」政策に移行する
          1. 1.2.1.3.1 クラウド戦略を発表する(連邦政府CIO)
          2. 1.2.1.3.2 クラウド技術への移動を活性化させる(各省CIO)
        4. 1.2.1.4 (4)IaaSソリューションズを保護するための推奨企業(ベンダー)を認定する
        5. 1.2.1.5 (5)コモディティー・サービスの推奨企業(ベンダー)を認定する
        6. 1.2.1.6 (6)シェアード・サービス(アプリケーション等)の戦略を立てる
    3. 1.3 パート2:大規模なITプログラムの効率良いマネージメント
      1. 1.3.1 B.プログラム・マネージメントの強化
        1. 1.3.1.1 (7)ITプログラム・マネージメントの公式なキャリアパスを考案する
        2. 1.3.1.2 (8)ITプログラム・マネージメントのキャリアパスを拡大する
        3. 1.3.1.3 (9)統合されたプログラム・チームを要請する
          1. 1.3.1.3.1 プログラム・ライフサイクルの始めから終わりまで人材を投入し可能な場合は一ヵ所に配置する
          2. 1.3.1.3.2 各省はIPTのメンバーに対して、個人の機能的ゴール(つまりメンバーそれぞれの業務におけるゴール)とプログラム全体の成功の両方の責任を課す
        4. 1.3.1.4 (10)ベストプラクティス協働プラットフォームを立ち上げる
        5. 1.3.1.5 (11)テクノロジー・フェローズ・プログラムを立ち上げる
        6. 1.3.1.6 (12)政府・業界を超えたITプログラムマネージャーの機動性を可能にする
      2. 1.3.2 C1.調達プロセスをテクノロジー・サイクルと合わせる
        1. 1.3.2.1 (13)IT調達における専門家のフレームワークを考案し、発展させる
          1. 1.3.2.1.1 IT調達能力を強化する
        2. 1.3.2.2 (14)IT調達のベストプラクティスを明確にし、政府全体に適応する
        3. 1.3.2.3 (15)モジュール開発をサポートするためのガイダンスとテンプレートを発行する
        4. 1.3.2.4 (16)革新的な技術をもつ小さな企業の参入への障害を減らす
      3. 1.3.3 C2.予算プロセスをテクノロジー・サイクルと合わせる
        1. 1.3.3.1 (17)連邦議会と共同してモジュール開発と協調できるIT予算のモデルを作る
          1. 1.3.3.1.1 WCFを分析した結果を各省庁に伝え、最新のIT予算の柔軟性を確認する
          2. 1.3.3.1.2 6ヶ月以内に各省CIOとCFOが予算の柔軟性を高めることで、節約しつつも業績を上げることができる省庁を
        2. 1.3.3.2 (18)柔軟なIT予算モデルを実現するための支援資料とガイダンスを発行する
        3. 1.3.3.3 (19)柔軟なIT予算モデルをより広く拡大するため、連邦議会と協力して取り組む
        4. 1.3.3.4 (20)各省CIOのもと、一般的IT投資を統合するため、連邦議会と協力して取り組む
      4. 1.3.4 D.ガバナンスを効率化し説明責任を向上させる
        1. 1.3.4.1 (21)Investment Review Board(投資審査委員会)を再編成し強化する
          1. 1.3.4.1.1 IT予算提出を改訂する
          2. 1.3.4.1.2 “TechStat”モデルを省庁全体で展開する
        2. 1.3.4.2 (22)各省のCIOとCIO評議会の役割を再定義する
        3. 1.3.4.3 (23)部局レベルで「TechStat」モデルを投入する
      5. 1.3.5 E.産業界の参加を高める
        1. 1.3.5.1 (24)「myth-busters」教育キャンペーンを実施する
        2. 1.3.5.2 (25)pre-RFP(提案以来の前段階)に各機関と産業界が協力する双方向のプラットフォームを立ち上げる
    4. 1.4 要約


日本語訳

イントロダクション

情報技術によって、政府は米国国民によりよい奉仕をすることができるはずである。しかし、連邦政府は、この10年間に6000億ドルを費やしているのに、民間企業がITから獲得するものからすれば、僅かばかりの生産性改善を達成しただけだ。しかも、連邦ITプロジェクトは頻繁に予算を超過し、予定を遅延し、目標とした機能を提供できないということが起きている。多くのプロジェクトが、4半期を単位として連ねた期間でマネージできるような断片や新機能を取り込めるような細分化をせずに、多年度単位で機能を提供するような”グランドデザイン”アプローチを用いている。さらに、"軽い技術”や共有サービスが存在するご時世に、連邦政府は頻繁に、巨大な、特注の、自前のシステムにしている。

パート1:業務効率をあげる

IT変革の一つとして、連邦政府は「軽い技術」と共有ソリューションを適用する方向に転換する必要がある。各省庁は数年ごとの大きな全体構想を立てるアプローチを取ることが多く、それにより連邦政府内で計画が重複し税金を無駄にしている。例えば1998年に432ヵ所あったデータセンターが2010年には2,094ヵ所にまで増加したことは、この問題を浮き彫りにしている。

主要な民間企業は業務効率をあげるために大きく変化している。クラウド技術やIaaS(イアース)によりインフラ資源の需要を効率よく共有、企業全体のリザーブ・キャパシティーを削減することが可能になっている。

以下のセクションでは業務効率をあげるための行動可能かつ達成可能なステップの概要を述べている。

A.「軽い技術」と共有ソリューションを適用する

(1)800のデータセンターを2015年までに統合するための詳細プランを作る

(担当:OMB・各省 期限:6ヶ月以内)

2010年2月オバマ政権は、the Federal Data Center Consolidation Initiative(FDCCI)を立ち上げ、現在2,100ヵ所ある連邦政府関連のデータセンターのうち800ヵ所を2015年までに閉鎖するとした。 そのためにOMBと各省CIOは以下のステップを実行する予定である。

6ヶ月以内に各省データセンター・プログラムのマネージャーを1名指名
データセンター統合を確実に遂行するためのタスクフォースを立ち上げる
統合の進捗状況が確認できる公的なダッシュボードを立ち上げる

(2)データセンターの有用性に関する政府全体としてのマーケット・プレイスを作る

(担当:OMB・GSA 期限:12~18ヶ月)

(3)「クラウドファースト」政策に移行する

(担当:OMB・各省 期限:6ヶ月以内)

クラウド技術の3つの戦略は、商業用クラウド技術を適所で使うこと、プライベートな政府のクラウドを立ち上げること、地域のクラウドを適所に利用し州政府・地方自治体に活用することを中心に展開する

クラウド・コンピューティングは幅広い利益をもたらす

  • 経済的なコスト削減
  • 柔軟性
  • 調達プロセスや認証プロセスをなくすことで時間を短縮、一方でほとんど制限がない種類のサービスを提供できる
クラウド戦略を発表する(連邦政府CIO)
クラウド技術への移動を活性化させる(各省CIO)

(4)IaaSソリューションズを保護するための推奨企業(ベンダー)を認定する

(担当:GSA 期限:6ヶ月以内)

(5)コモディティー・サービスの推奨企業(ベンダー)を認定する

(担当:GSA 期限:6~12ヶ月以内)

SaaS Email Working Groupが2010年6月に組織され、政府全体のクラウド・eメールソリューションの機能的、技術的な必須事項のセットを発展。

12ヶ月以内にGSAはこれらの必須事項を活用しクラウドベースのメールサービスへの政府全体の推奨ベンダーを認定する。

(6)シェアード・サービス(アプリケーション等)の戦略を立てる

(担当:連邦政府CIO 期限:6~12ヶ月以内)

パート2:大規模なITプログラムの効率良いマネージメント

B.プログラム・マネージメントの強化

(7)ITプログラム・マネージメントの公式なキャリアパスを考案する

(担当:OPM・OMB 期限:6ヶ月以内)

(8)ITプログラム・マネージメントのキャリアパスを拡大する

(担当:OPM・各省 期限:12~18ヶ月以内)

(9)統合されたプログラム・チームを要請する

(担当:OMB 期限:6ヶ月以内)

業績のよい民間企業では複合的なIPT(統合されたプログラム・チーム)を結成し、プログラム・マネージャーの下効率的に業績をあげる。

プログラム・ライフサイクルの始めから終わりまで人材を投入し可能な場合は一ヵ所に配置する
各省はIPTのメンバーに対して、個人の機能的ゴール(つまりメンバーそれぞれの業務におけるゴール)とプログラム全体の成功の両方の責任を課す

そのために各省はSenior Procurement Executives(SPE:上級調達管理者)・各省CIO・プログラムの責任者が共同で、メンバーの個人業務とプログラム全体の成功をよりバランスが取れたものにするべく取り組む。

(10)ベストプラクティス協働プラットフォームを立ち上げる

(担当:連邦政府CIO評議会 期限:6ヶ月以内)

(11)テクノロジー・フェローズ・プログラムを立ち上げる

(担当:連邦政府CIO 期限:12ヶ月以内)

(12)政府・業界を超えたITプログラムマネージャーの機動性を可能にする

(担当:OMB・CIO評議会 期限:12~18ヶ月)

C1.調達プロセスをテクノロジー・サイクルと合わせる

(13)IT調達における専門家のフレームワークを考案し、発展させる

(担当:OMB・各省 期限:6ヶ月以内)

IT調達能力を強化する

IT市場・ITプログラム管理・IT調達に関する職能上の枠を越えた知識を向上することに焦点を当てる。

OFPPは6ヶ月以内に各省からの情報を得つつ、IT調達の専門家に対する要件のガイダンスを作成する。さらにプログラム・マネージャーとIT調達の専門家に対するクロス・トレーニングのカリキュラムを作成する。(IT調達の専門家の道筋はFederal Acquisition Certification in Contracting(FAC-C)を足場として作成、カリキュラムについては既にIT調達の専門家が存在する省庁のカリキュラムを活用する予定。)

能力向上には以下が盛り込まれる予定:

  • クラスルーム・トレーニング:the Federal Acquisition Institute(FAI)やthe Defense Acquisition Universityなどの教育機関のクラス(講義)にてこ入れし授業内容を強化する。
  • 実地の職業経験
  • メンター・シップ(指導)

(14)IT調達のベストプラクティスを明確にし、政府全体に適応する

(担当:OFPP 期限:6ヶ月以内)

(15)モジュール開発をサポートするためのガイダンスとテンプレートを発行する

(担当:OFPP 期限:6~12ヶ月以内)

(16)革新的な技術をもつ小さな企業の参入への障害を減らす

(担当:SBA・GSA・OFPP 期限:12~18ヶ月)

C2.予算プロセスをテクノロジー・サイクルと合わせる

(17)連邦議会と共同してモジュール開発と協調できるIT予算のモデルを作る

(担当:OMB・各省 期限:6ヶ月以内)

WCFを分析した結果を各省庁に伝え、最新のIT予算の柔軟性を確認する
6ヶ月以内に各省CIOとCFOが予算の柔軟性を高めることで、節約しつつも業績を上げることができる省庁を

(18)柔軟なIT予算モデルを実現するための支援資料とガイダンスを発行する

(担当:OMB・CFO評議会・CIO評議会 期限:6~12ヶ月)

(19)柔軟なIT予算モデルをより広く拡大するため、連邦議会と協力して取り組む

(担当:OMB・各省 期限:12~18ヶ月)

(20)各省CIOのもと、一般的IT投資を統合するため、連邦議会と協力して取り組む

(担当:OMB・各省 期限:6ヶ月以内)

D.ガバナンスを効率化し説明責任を向上させる

TechStatsは成果物、経費削減、プロジェクト終結を増進させている。以下は結果の一部。

  • ライフサイクルコストが30億削減された
  • 成果物を得るまでに平均24ヶ月以上かかっていたのが8ヶ月まで短縮された

(21)Investment Review Board(投資審査委員会)を再編成し強化する

(担当:OMB・各省 期限:6ヶ月以内)

IT予算提出を改訂する
“TechStat”モデルを省庁全体で展開する

(22)各省のCIOとCIO評議会の役割を再定義する

(担当:連邦政府CIO・各省CIO 期限:6ヶ月以内)

(23)部局レベルで「TechStat」モデルを投入する

(担当:各省CIO 期限:12~18ヶ月)

E.産業界の参加を高める

(24)「myth-busters」教育キャンペーンを実施する

(担当:OFPP 期限:6ヶ月以内)

(25)pre-RFP(提案以来の前段階)に各機関と産業界が協力する双方向のプラットフォームを立ち上げる

(担当:GSA 期限:6ヶ月以内)

要約

連邦政府のIT投資はアメリカ国民のために策定されている。この計画は実行、監視、透明性の3点に重点を置くことで、連邦政府の利害関係者と米国納税者に目に見える結果を実現する。

これまで述べた25の行動は、個別に、そして一緒になって、米国政府をより素早く、費用対効果がある国民重視の未来へと向かわせるであろう。これらのIT改革には、連邦議会・産業界とのかかわり・政府のリーダーシップ及びIT調達や金融マネージメントの専門家達の尽力が必須であり、そのためには短期で実行すること、過去の教訓を認識すること、そして長期的な将来へのビジョンに絶え間なくフォーカスすることが求められている。政策重視から実行・監視重視に切り替えることにより、これらのIT改革はアメリカ国民に結果を見せることができる。

連邦政府ITの将来像は存在している。ITはより良いサービス提供、国民との協力の増進、大幅なコスト削減を可能にする。我々はシステムの無駄と非効率を取り除かなければならない。時代遅れな技術と情報システムは効率を弱体化させ社会にとって脅威となる。

連邦政府のITプロジェクトでは、有用な機能を何も提供しないまま何年も経過してしまうことはない。業績不振なプロジェクトを早く明確にして方向転換、それでも不振が続く場合は計画中止とする。大規模なIT契約が専門家なしで交渉されることもなくなる。他機関に余剰能力がある場合、莫大な費用を掛けて新たなデータセンターを作ることもしない。柔軟性のない規制により税金を上手に使えるような意志決定が阻止されることもなくなり、柔軟性のあるモデルは各省のリーダーが財源を必要な時に必要な場所に使えるようになって、計画よりも結果が重視される。

最新ITに支えられた政府はより素早くスマートでより効率的である。政府全体のITプロジェクトには常にリスクがつきものであるが、失敗しても言い訳する余地はない。そしてプロジェクトは何もかもすべてが完璧にはならないものであるが、大きなミスは早期に発見し適切に対処すべきであり、する予定である。また主要なスケジュールは遅れるべきではなく、これは合理化された管理体制と経験のあるプログラムマネージャーによって、問題を早期に発見しお金と時間を無駄にすることなく方向修正が可能となる。 連邦政府は今後、システムを最初から作るのではなくて、利用可能なクラウド・ソリューションを提供可能にし、設備投資を抑えられるより高性能な技術を活用していく。国民はよりシンプルで直感的インターフェースな方法で政府と関わり合い、サービスを受けることが可能になる。ITにより政府はより公開性が高くなり、すべての業務について深い部分まで可視できる。この25の行動計画で、連邦政府は最も重要な改革を実行に移す山を越え、大規模なITプログラム改革が予定通りに進んでいるか確認し、この改革を予算内、時間通りに米国民に成果を提供できると考える。

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